yukarashi’s diary

おもに映画や写真について書いています。ドキュメンタリーが好きです。

イメージフォーラム・フェスティバル2017

ゴールデンウィーク、特に予定もなかったので、イメージフォーラム・フェスティバルでドキュメンタリーを鑑賞。 『陽の当たる町』(ラティ・オネリ監督/2017) グルジア西部の都市・チアトゥラを舞台に描くドキュメンタリー。映画祭リーフレットの作品紹介…

『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』(ジャンフランコ・ロージ監督/2016年)

前作もそうだったが、「ドキュメンタリーではなくフィクションなのでは?」と感じられる撮り方をする印象が強いジャンフランコ・ロージ監督。その「フィクションなのでは?」と感じる要素が、具体的にどういうことかというと、構図が決まっていて美しい、全…

『推手<すいしゅ>』(アン・リー監督)

これまであまり観たことがなかったアン・リー監督作。2月公開予定の『ビリー・リンの永遠の一日』(英題:Billy Lynn's Long Halftime Walk)が良さそうなので、アン・リーの長編第1作目の『推手<すいしゅ>』(1991)を観てみたけど、しっかり普通に面白かった…

『100人の子供たちが列車を待っている』(イグナシオ・アグエロ監督/1988)

おそらくレンタル版DVDが出ていなくて見そびれていたのですが、大きいツタヤにあったのでVHSをレンタル。本作は、チリ郊外に暮らす子供たちが映画の授業を受ける様子を捉えたドキュメンタリー。ソーマトロープとゾートロープを手作りして残像が動くイメージ…

『クローズ・アップ』(アッバス・キアロスタミ監督)

ユーロスペースの特集上映「キアロスタミ全仕事」で『クローズ・アップ』(1990)を鑑賞。 クローズ・アップ [DVD] 出版社/メーカー: パイオニアLDC 発売日: 2001/09/21 メディア: DVD クリック: 13回 この商品を含むブログ (15件) を見る イランで実際に起…

『ジャクソン・ハイツ』 (フレデリック・ワイズマン監督)@第13回ラテンビート映画祭

たしか昨年の東京国際映画祭で上映されていて、それを見逃したきり、次はいったいどこで観られるのかと諦めかけていた。フレデリック・ワイズマンの特集上映は、自分が記憶する限りだと、東京に暮らすようになってから約10年経つなかで3回くらいはあったと思…

『チリの闘い』(パトリシオ・グスマン監督)@ユーロスペース

パトリシオ・グスマン監督による三部構成のドキュメンタリー映画。去年、『真珠のボタン』を観て初めて知ったパトリシオ・グスマン。『チリの闘い』は1975年から78年にかけて制作された作品で、2015年に山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映されたのが日本…

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(ジェイ・ローチ監督)

アメリカ映画をこれまであまり観ていなくて、ざっくりとした歴史の流れと絡めて理解できるものってないかなーと思いながら、最近この本を読んでいて、 60年代アメリカ映画100 (アメリカ映画100シリーズ) 作者: 渡部幻,石澤治信 出版社/メーカー: 芸術新聞社 …

スティーヴ・マックイーン 「Cold Breath」 @RAT HOLE GALLERY

表参道のRAT HOLE GALLERYでスティーヴ・マックイーンの展示「Cold Breath」を鑑賞。絶対見に行かねば…という心意気でもなかったのですが、ツイッターでこの展示を見に行った人の感想を検索していたら、“スティーヴ・マックイーンが自身の乳首をずっとつねっ…

『夜、僕らは輪になって歩く』ダニエル・アラルコン著

最近気になる作家、ダニエル・アラルコンの小説『夜、僕らは輪になって歩く』(新潮クレスト・ブックス)を読んだ。ペルーに生まれて3歳で渡米し、サンフランシスコ在住の作家が書く本作は、内戦終結後に出所した劇作家を迎えて十数年ぶりに再結成された小劇…

「アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること」ネイサン・イングランダー著

海外文学にあまり詳しくないので、書評などで気になる本を見つけても、実際に読み進めてみると案外とっつきにくくて読み切れなかった…というパターンがすごく多い。しかし最近「新潮クレスト・ブックス」かつ「フランク・オコナー国際短篇賞」という括りでチ…

「あの素晴らしき七年」 エトガル・ケレット著

雑誌で書評を見て気になっていた新刊本「あの素晴らしき七年」 (新潮クレスト・ブックス) 。さくっと読めてすごく良い作品だった。「愛おしい息子の誕生から、ホロコーストを生き延びた父の死まで」という帯のキャッチコピーを見て、父親の誕生日にあげよう…

『オマールの壁』ハニ・アブ・アサド監督

予想していたよりもストーリーが複雑で、かといって小難しい話ではなくエンタメ要素もあり、多くの人に届くような強度のある映画だった。 占領状態が続くパレスチナの青年・オマールが主人公。自分の身を守ることと仲間を裏切ることの狭間にある彼の行動は、…

「ジャック=アンリ・ラルティーグ 幸せの瞬間をつかまえて」@埼玉県立近代美術館

その昔、高校生の頃、写真部の顧問から「座礁した船」を撮影しに行くよう勧められた。地元の港で船が座礁して(どの程度の規模の船だか、何が原因でそんな事故が起きたのか…詳しいことはもう忘れたが、たしか当時地元の新聞ではニュースにはなっていた)、写…

ジャ・ジャンクー『長江哀歌』

4月23日より、ジャ・ジャンクー(賈樟柯)監督の『山河ノスタルジア』が公開されるので、予習を兼ねて『長江哀歌』鑑賞。過去作では『一瞬の夢』と『世界』を観ているが、エンタメ作品ではなく尺も長いので少しウトウトしてしまった記憶が…。 最近の作品は観…

「テロルと映画」(四方田犬彦著)を読んでから、マルコ・ベロッキオを観た

テロルと映画 - スペクタクルとしての暴力 (中公新書) 作者: 四方田 犬彦 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2015/06/25 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 「テロルと映画」(中公新書/四方田犬彦著)が非常に面白かったので、本書で…

ミランダ・ジュライ「あなたを選んでくれるもの」(新潮クレスト・ブック/岸本佐知子訳)

映画監督、作家、コンテンポラリーアーティストとして活動するミランダ・ジュライの新刊。ミランダ・ジュライが監督・脚本・主演を務めた映画『ザ・フューチャー』(2011)をきっかけに彼女の作品をきちんと認識するようになり、それ以来新作を心待ちにして…

「生誕110年 映画俳優 志村喬」展@国立近代美術館フィルムセンター

このところ欠かさず足を運んでいるフィルムセンターの企画展。今回のテーマは志村喬です。私にとって志村喬といえば、やはり黒澤明の『生きる』のイメージが一番大きいです。と言いますか、出演作品をあまり観たことがありません。志村喬は三船敏郎と並んで…

「ディン・Q・レ展 明日への記憶」@森美術館

ディン・Q・レは1968年ベトナム生まれのアーティスト。78年に家族でアメリカに移住し、カリフォルニア大学で美術を学び、現在はホーチミン在住だそうです。私は今回の展示で初めて彼のことを知りました。 「ベトナム戦争」をテーマにした作品の数々はどれも…

「シネマブックの秘かな愉しみ」展

●「シネマブックの秘かな愉しみ」@東京国立近代美術館フィルムセンター 展示室コンパクトながらも充実した展示が魅力的なフィルムセンター。 今回、そこまで期待せずに行ったこの展示ですが、いやー楽しかった。映画に限らず、アートをテーマにしてレポート…