yukarashi’s diary

おもに映画や写真について書いています。ドキュメンタリーが好きです。

ミランダ・ジュライ「あなたを選んでくれるもの」(新潮クレスト・ブック/岸本佐知子訳)

 映画監督、作家、コンテンポラリーアーティストとして活動するミランダ・ジュライの新刊。ミランダ・ジュライが監督・脚本・主演を務めた映画『ザ・フューチャー』(2011)をきっかけに彼女の作品をきちんと認識するようになり、それ以来新作を心待ちにしていました。

 本書「あなたを選んでくれるもの」は、映画『ザ・フューチャー』の脚本執筆のための取材活動から生まれたインタビュー集です。脚本執筆に行き詰ったジュライは、フリーペーパーの売買広告に記事を出す人々とコンタクトを取り、実際に彼ら(彼女ら)の家を訪れてインタビューを行うことにする。さまざまな背景や物語を持った人々が、自らの人生を語るインタビュー形式のやりとりと共に、その生きざまをミランダ・ジュライが見つめ、独特の表現によってすくい上げる。短編集「いちばんここに似合う人」で見せた彼女らしい文章表現は、インタビュー集である本書でも顕著。加えて、映画『ザ・フューチャー』ができあがるまでの経緯やテーマについての言及も多いので、映画を再見しながら答え合わせをするようなつもりで楽しむのも良いと思います。

 わりと最近になってミランダ・ジュライのことを認識するようになったので、彼女のアート作品は未見です。機会があればすごく見たいのですが。ちなみに、ミランダ・ジュライのパートナーである映画監督、マイク・ミルズによるドキュメンタリー『マイク・ミルズのうつの話』も面白い作品でした。(DVD化はされていないようです)

あなたを選んでくれるもの (新潮クレスト・ブックス)

ザ・フューチャー [DVD]