yukarashi’s diary

おもに映画や写真について書いています。ドキュメンタリーが好きです。

『フリーダ・カーロの遺品―石内都、織るように』(小谷忠典監督)

 石内都さんの撮影現場を見てみたいという思いで鑑賞。フリーダ・カーロについては事故で身体に障害があった…くらいのプロフィールは知っています。フリーダ・カーロのあのビジュアルと彼女が描く印象的な作品のいくつかについても、一応まあ観たことはあるという程度。 

本作は非常にバランス良く構成されていて、石内都フリーダ・カーロも知らないという人でも理解できるようになっています。(博物館から?)依頼を受けた石内さんがフリーダ・カーロ博物館で彼女の遺品を撮影するというプロジェクトに密着したドキュメンタリー、この映画の概要をひとことで言うならそういう感じでしょうか。小谷監督はこれまでにもいろいろなドキュメンタリーを撮影されている方なので、人物ドキュメンタリーを撮り慣れている…スマートさのようなものを感じました。つまりは、被写体との距離を測りかねている監督の戸惑いとかそういったものは全くありません(あくまで映画に写っているものを見る限りでは、です)。

 上映後は監督が登壇され、トークを少しだけ聞くことができました。小谷監督は、「自分は映画監督だが、最も影響を受けた人のひとりが写真家である石内都さん…」(←記憶おぼろげです。)という旨のことをおっしゃっていました。ということは、被写体である石内さんにすごく強い思い入れがあったのではないかと思います。個人的には、そういう強い思い入れとか執着心が見え隠れするようなドキュメンタリーも観てみたかったなという気がしましたし、石内さんファンの監督ですから、「フリーダ・カーロの遺品」以外の過去作品についても言及するかどうか迷ったのではないかな…と私は勝手に想像しました。

 石内都さんのこれまでの作品については、私も好きなシリーズがたくさんあります。大学の時に目黒区美術館で見た「ひろしま/ヨコスカ 石内都展」という回顧展がとても充実していて、そこで過去作をほとんど見ることができたんじゃないかな、たしか。「絶唱、横須賀ストーリー」からの展示が圧倒的で、そこからのスタートでこれまでの作品を追っていくとすっと腑に落ちるような感覚があり、石内さんという写真家の全体像と作家が一貫してやってきたことがはっきりと見える、そんな展示だった記憶があります。

 ドキュメンタリーってテーマによってはもちろん、監督のアプローチの仕方、被写体との距離感など…とにかく千差万別です。ただ、写真家ってあまりTVに出演しないし、インタビュー映像などを見る機会も少ないんですよね。そう意味でも貴重なので写真家のドキュメンタリーはやっぱり観たくなってしまいます。先日、写真家の中平卓馬さんが亡くなられましたが、のちの世代の写真ファンが中平卓馬って一体どんな人だったんだろうと思ったときに、『カメラになった男 写真家 中平卓馬』(小原真史監督)を観られるということはすごく意味のあることだと思います。『カメラになった男~』、もう一回観たくなってきました。