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yukarashi’s diary

おもに映画や写真について書いています。ドキュメンタリーが好きです。

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(ジェイ・ローチ監督)

 アメリカ映画をこれまであまり観ていなくて、ざっくりとした歴史の流れと絡めて理解できるものってないかなーと思いながら、最近この本を読んでいて、 

60年代アメリカ映画100 (アメリカ映画100シリーズ)

60年代アメリカ映画100 (アメリカ映画100シリーズ)

 

 

 本書は60年代からゼロ年代まで、計5冊刊行されているシリーズで、年表付きでわりと分かりやすい。10年間ごとに100本の映画を紹介する体裁で、各映画のストーリーに関する記述が多いため未見作品が多いとなかなか頭に入ってこない部分もあるが、それはこれからレンタルでもして観ればいいとして…。

 今、私が読んでいるのは『60年代アメリカ映画100』なので、時代背景としては「ベトナム戦争」と「ケネディ暗殺」が大きな出来事で、それに加えて60年代に突入する前の流れとして、50年代にハリウッドにも吹き荒れたレッドパージの影響が続いていたことが言及されている。その話題の中で必ず触れられるのは、ハリウッドの天才脚本家、ダルトン・トランボ。ハリウッド・テンのひとりとして映画産業から追放された彼の人物像に迫った映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』が、ちょうどタイミングよく公開中ということで観に行った。

trumbo-movie.jp

 本作は、エンタメとしてもよくできていて、時代の雰囲気を理解するのにはとても分かりやすい。トランボは共産党員ゆえに映画界を去ることを余儀なくされる。投獄された後、脚本家としての仕事を失い、自分の名前を出して執筆することができない日々の中で彼は『ローマの休日』の脚本を仕上げる(それ以外にもたくさんの映画脚本を偽名で書いていた)。しかし、偽名だからアカデミー賞の授賞式でオスカー像を受け取ることもできず…。

 この映画はトランボの脚本家仲間や同志たちの友情と裏切り、そして彼をそばでずっと支え続ける家族たちの姿を描いた人間ドラマでもある。映画の最後には、ダルトン・トランボ本人が映画界復帰後にインタビューに応じる実際の映像が流れるのだが、やっとオスカー像を受け取れることと自分の名前を明かせることの喜び、そして長女への思いを語る姿に感銘を受けた。

 ただ…しかしながら、手放しにスカッと感動できないのは、今の日本でもこんなこと起こりそうで恐ろしい…と思えてしまうから。  

 映画には、オットー・プレミンジャーカーク・ダグラスが出てきて、どれもキャラクターが立っていてなかなか良かった。